あがいた影の色濃さが、光をより鮮烈にする。順位はつかないオープン参加で出場した昨年12月の豊田国際競技会。トレードマークの笑顔が白井のもとに戻っていた。
「今季一度も使えなかった技を二つ同時に達成できたのは、来年に向けて可能性を感じた」
初日の床運動。冒頭から代名詞であるH難度の「シライ3(後方伸身2回宙返り3回ひねり)」で会場を沸かせると、最後もF難度の「シライ/ニュエン(後方伸身宙返り4回ひねり)」で飾った。
出来栄えを示すEスコアは伸びなかった。マークした14・500点もまだ物足りない。それでも、白井を「シライ」たらしめたのは高難度の技を恐れず繰り出す圧倒的な演技に他ならない。
「動きの切れは、より高いDスコアを目指していた時のほうがあったと思う。ぱっと見た時に自分の良さがなくなっている時期が長かった。点数と、見た時の印象を両立して改善していきたい」。たどり着いた答えはそこにある。