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やまゆり園 事件考
弁護側が無罪主張、結審 被告「控訴しない」、判決は3月

社会 神奈川新聞  2020年02月19日 12:25

公判が開かれた横浜地裁=19日朝、横浜市中区
公判が開かれた横浜地裁=19日朝、横浜市中区

 相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判の第16回公判が19日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。弁護側が最終弁論に臨み、事件当時の被告は精神障害の影響で心神喪失状態だったと改めて主張。刑事責任能力がなく「どんなに悲惨な事件でも無罪が言い渡されるべきだ」と述べ、結審した。判決の言い渡しは3月16日。

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 被告は最終意見陳述で「どんな判決でも控訴しない。一審だけでも長いと思った。貴重な時間をいただき、大変申し訳なく思う」と述べた。

 公判は事実関係に争いがなく、被告の責任能力の有無と程度が争点。検察側は17日の論告で、被告が常用していた大麻が事件に与えた影響はわずかで、正常な心理状態に基づく犯行だったとして死刑を求刑した。

 弁護側は最終弁論で、「事件の約1年前から大麻の使用頻度が増えて乱用状態になり、被告は妄想や幻聴が発症する『大麻精神病』になっていた」と説明。障害者への差別的な発言をエスカレートさせて周囲とも疎遠になるなど、大麻乱用前とは別の人格に変わったと強調した。

 さらに、「意思疎通を取れない重度障害者は安楽死させるべきだ」との考えが乱用後は「自分が殺す」に変わったとも指摘。この変遷には大きな飛躍があるとした上で、「被告は異常な思考に支配されており、善悪を判断する能力は失われていた」との見方を示し、心神喪失か心神耗弱の状態だったとして無罪か減軽を求めた。

 検察側は論告で、犯行に計画性や一貫性がある点を責任能力を問う上での重要な要素として挙げた。この点について弁護側は「大麻精神病を発症したからといって認知機能が低下するわけではなく合理的に行動できる」と反論した。

 一方で、「事件はこの社会に根付く差別意識が最悪な形で現れたようにも見える。生産性を重視する世相を映しているようで、そうした現状を考えるきっかけになった側面があることは確かだ」とも述べた。

 起訴状によると、被告は16年7月26日未明、やまゆり園に侵入し、包丁で突き刺すなどして入所者19人を殺害したほか、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせた、とされる。


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