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【KーPerson】山崎一さん
還暦迎え「劇壇」始動、初演出の“景色”に期待

K-Person 神奈川新聞  2017年12月17日 10:11

山崎一さん
山崎一さん

山崎一さん

 今年9月に還暦を迎え、新しい演劇活動に向けた場作りを発表した。劇団の枠を超え、声を掛けて集まった仲間たちと始める「劇壇」だ=写真はチラシ。


チラシ
チラシ

 「いろいろな場で仕事をしてきて、一緒にやりたいな、と思う俳優や作家、演出家がいっぱいいる。そんな人たちと協力して、芝居ができる集団をつくりたいとずっと思っていた」

 来年11月下旬から上演する最初の舞台には、大好きだという劇作家、別役実さんの作品「森から来たカーニバル」を選んだ。初めて自身で演出も手掛ける。

 コメディーからシリアスまで、幅広い役をこなしてきたが「役者は、与えられた役を自分なりに膨らませて提示することはできても、客演にすぎない」との思いがあり、演出をやってみたい気持ちが募っていた。

 「俳優と演出家では、立ち位置が異なる。これまでとは違う世界が見えてくるのではないか。期待する分だけ、めちゃくちゃ不安ですが」

 松田町で生まれ育った。子どもの頃から演じることが好きで「学芸会と運動会だけ、ヒーローになれる子どもだった」と笑う。「ハーメルンの笛吹き」では、笛吹きをだます町長を演じた。後日、町を歩いていると、見ず知らずのおばさんに「あんた、うまかったわよ」と声を掛けられ、うれしかった思い出がある。

 大学卒業後、劇団に入団。そのままずるずると演劇の世界にのめりこんだ。就職した同級生らはいい服を着たり、海外旅行をしたりしていたが、うらやましいとは思わなかった。

 「本当に貧乏だった。友人と二人だけの劇団を旗揚げして、芝居を打つたびに赤字で。でも全然、苦にならなかった。ある意味、ばかだったんだなあ。いい言葉でいえば、純粋かな」とほほ笑む。

 経験を重ねてきた今、役を作りあげる過程と、舞台上で演じているときのダイレクトな観客の反応の両方を「同じくらいの重さがある」という。

 初演出の舞台に向けても、いろいろとアイデアを練ること自体が楽しくて仕方がない。華やかな祝祭劇を、小劇場でいかに見せるか。「早く稽古にならないかな」と待ち遠しい思いだ。

やまざき・はじめ 俳優。1957年、松田町生まれ。東海大卒。2015年から「松田ふるさと大使」を務める。現在に至るまで、舞台、映画、ドラマと幅広く活躍。17年の出演作は、舞台「陥没」(シアターコクーン)、「ワーニャ伯父さん」(新国立劇場 小劇場)、映画「ケアニン~あなたでよかった~」(鈴木浩介監督)、NHK土曜時代ドラマ「みをつくし料理帖」など。
17年9月「劇壇」活動を開始し、18年11月下旬から12月に東京・下北沢の駅前劇場で「森から来たカーニバル」を上演予定。18年2月から舞台「シャンハイムーン」(こまつ座&世田谷パブリックシアター)出演。

記者の一言
 イメージ通り、優しく穏やかな話しぶりが紳士的で、楽しい取材だった。KAAT神奈川芸術劇場での舞台「作者を探す六人の登場人物」に出演された後だったが疲れも見せず、新しい活動に向けたわくわくした気持ちが伝わってきた。それが、うまく文章にできていればいいのだが…。

 さすがだと感じたのが、舞台に立つ楽しみを聞いたときのこと。「自分が言ったひとことでわあっと会場が沸いたり、さあーっと視線が集中してきたりするんですよ」と言いながら、山崎さんの瞳にちょっと力が入って輝いた。その瞬間、ライトに照らされたステージの上に、自分も立っているような気分になった。観客の視線を浴びているような、熱狂した息づかいも感じるような。心がざわついた一瞬の出来事だった。


山崎一さん
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