球団創設70周年を迎えた2019年は、球団フロントが「独り立ち」するためのシーズンだったのかもしれない。
とにかく試練の連続だった。開幕早々の4月に10連敗。球団として58年ぶりとなる不名誉な記録を残した。最下位に転落して平成が幕を閉じると、令和になった5月も黒星がまた並ぶ。極め付きは5月8日だった。南場智子オーナーの出身地であり、毎年ホームゲームを開催している新潟で、巨人に4点差を終盤にひっくり返されて、悪夢の5連敗。
21年ぶりの優勝─の掛け声はすっかり吹き飛んだ。翌9日午前6時、沈んだ表情で宿舎を出る首脳陣に岡村信悟球団社長は「ここからです。信じましょう」とげきを飛ばしたのだった。
昨オフ、横浜DeNAベイスターズ“誕生”時に就任し、7年にわたってゼネラルマネジャー(GM)を務めてきた巨人V9戦士の高田繁氏が退任した。野球と無縁のIT業界で、ソーシャルゲームなどで頭角を現しつつも、まだ発展途上にあった企業にとって、チームづくりはすべて首脳陣人事や選手獲得で手腕を発揮する高田GM任せで進められてきており、今シーズン中、関係者らは、その存在感の大きさをあらためて思い起こすことになった。
「荒波でもまれた1年だった」と三原一晃球団代表は振り返る。