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時代の正体 差別のないまちへ
行政は上映守る立場 「主戦場」問題でトークショー

時代の正体 神奈川新聞  2019年12月19日 05:00

しんゆり映画祭での「主戦場」上映中止問題について話し合う(左奥から)石川教授、武井弁護士、志田教授。朴麻衣さんも参加したが、右翼などの攻撃を懸念し、写真に入ることは避けた=東京都内
しんゆり映画祭での「主戦場」上映中止問題について話し合う(左奥から)石川教授、武井弁護士、志田教授。朴麻衣さんも参加したが、右翼などの攻撃を懸念し、写真に入ることは避けた=東京都内

 川崎市麻生区で開催された「KAWASAKIしんゆり映画祭」で、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」の上映が市の懸念表明の影響により一度は中止になった問題で、市の対応や福田紀彦市長の「適切だった」との発言に抗議している市民有志のトークライブが17日、東京都内で開かれた。同じように慰安婦をテーマにしたドキュメンタリー映画の上映が右翼団体に妨害され、自身もインターネットなどで脅しを受けてきた映画プロデューサーの朴麻衣(パク・マイ)さんは「上映妨害という名での差別。その本質を見誤らないでほしい」と述べ、表現の自由の問題とともに、在日コリアンへの根深い差別にこそ目を向けるべきだと指摘した。

 「アートと公的支援」と題したトークライブを主催したのは、市の対応に抗議する声明を出した市民有志メンバーで、憲法学者の石川裕一郎聖学院大学教授と武井由起子弁護士。憲法・芸術関連法が専門の志田陽子武蔵野美術大学教授、朴さん、しんゆり映画祭のスタッフもゲストとして参加した。

妨害「黙れ」という脅し

 市は「主戦場」を巡って訴訟が起こされていることから、映画祭主催者側に上映の懸念を伝え、福田市長は市の対応を「適切だった」と述べた。同映画祭は共催の市が開催費用約1300万円のうち約600万円を助成している。

 トークに参加した映画祭スタッフは「ここ数年は下げ止まっているが、助成が減ってきたのは確か」と指摘。公金を出す市の懸念表明が主催者側に与えた影響は少なくなかったとの考えを言外に強くにじませた。

 志田教授は、元慰安婦を象徴した少女像などの展示に抗議や脅迫が相次ぎ、一度は中止になったあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」を巡り、文化庁が同芸術祭への補助金不交付を決めた問題に触れ、「芸術祭側と行政との信頼関係の上で、質の高い創作活動も成り立つ。国や自治体は後出しジャンケンでハシゴを外してはならない。民法で言う『期待権』を侵害する行為だ」と厳しく非難した。

 川崎市の対応や市長の認識に対し、武井弁護士も「文化芸術活動を行う者の自主性の尊重をうたっている文化芸術基本法や、市の文化芸術振興条例に反するものだ」と批判した。

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