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師岡康子弁護士 寄稿
希望灯す「差別は犯罪」 川崎市「差別根絶条例」成立

時代の正体 神奈川新聞  2019年12月13日 10:41

 ヘイトスピーチを繰り返した人物に刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(差別根絶条例)が12日、成立した。2016年にヘイト対策の報告書をまとめた市人権施策推進協議会に参考人として招かれ、条例案に対する意見書を提出するなどその制定に関わってきた師岡康子弁護士に条例の意義について寄稿してもらった。

禁止・罰則意義深く


師岡康子弁護士
師岡康子弁護士

 この条例は、繰り返されてきた外国ルーツの市民への差別的言動による深刻な被害が立法事実であり、それを止めなければならないこと、かつ、現行法や啓発・教育では止められないヘイトスピーチを止めるために禁止条項と刑事罰規定を置くことを全会一致で採択したことは、差別のない社会に向けた歴史的な意義がある。

 これまで日本では法規制が必要なほどの人種差別がないとの認識が国や地方公共団体、さらには法律家も含めて一般的で、被害者は差別被害の事実すら認められず、我慢を強いられてきた。2016年施行のヘイトスピーチ解消法ではその深刻な被害と解消の必要性が初めて認められ、差別根絶に向けてのスタートラインに立った。

 しかし、解消法には禁止規定も制裁規定もないため、施行から3年半がたってなお、ヘイトデモや差別街宣をはじめ、インターネット上のヘイトの横行などを止めることができないままである。

 今回川崎市は、解消法はもちろん、脅迫罪、名誉毀損(きそん)罪などの現行刑法は特定の人が対象で、「○○人は出ていけ」等の不特定の集団に対する差別の扇動には適用できない法制度の欠陥を直視し、被害を実際に止めるために、差別的言動そのものに対する日本の法制史上初めて刑事規制の新設に踏み切った。

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