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時代の正体 差別のないまちへ
全会一致を求めて(上)川崎の皆が当事者

時代の正体 神奈川新聞  2019年12月11日 05:00

商店街を練り歩きながら子どもたちも披露したプンムルノリ=11月17日、川崎市川崎区
商店街を練り歩きながら子どもたちも披露したプンムルノリ=11月17日、川崎市川崎区

 奇跡のような一シ-ンだった。勇壮な「チャンゴ」のリズムに合わせ、車いすの上、在日コリアン1世のハルモニ(おばあさん)が一心不乱に手拍子をしていた。傍らに寄り添う娘が目を細めた。

 「やっぱり体が覚えているんですね。認知症が随分進んでいるというのに」

 11月17日、川崎市川崎区の桜本商店街主催の「日本のまつり」で披露されたのは、朝鮮半島に伝わる豊作祈願「プンムルノリ」。民族衣装をまとった地域の在日コリアン、日本人が太鼓を抱えて舞い踊り、フィリピンやタイ、日系南米人たちが沿道から喝采を送る。その姿が多文化共生のまちのありようを象徴していた。

 幼いわが子を抱っこしながら在日4世の女性(26)も特別なまなざしを向けていた。

 「それはもう特別なものになった。私も小学生の頃チャンゴをたたいていたけれど、在日である自分を無条件に肯定して表現できることがどれだけ尊いか。こういう場は必ず守っていかなければならない、と」

 そのまぶたには日の丸と旭日旗をはためかせた差別者集団の隊列が焼き付いていた。2016年1月31日、民族虐殺を掲げたその名もおぞましい「川崎発日本浄化デモ」はこのまちに住まう具体的なあの人、この人の心にナイフを突き立てていった。

まち自体へ攻撃

 あれから4年。ヘイトスピ-チによる被害は続いていた。

 「川崎駅で大きな声を出している人がいると『またヘイトスピ-チだ』と反射的に身が凍る。以前はそんなことなかったのに。私は具体的に変わってしまったんだと感じる」

 不快、騒々しいという類いではない、マイノリティ-だけが受ける被害は絶望をより深いものにしていた。

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