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【シネマ散歩】
【ひとよ】壊れた家族の再生

カルチャー 神奈川新聞  2019年11月08日 14:10

(C) 2019「ひとよ」製作委員会 
(C) 2019「ひとよ」製作委員会 

 8日からイオンシネマみなとみらいなどで上映。

 壊れた家族の再生を描くヒューマンドラマ。カンヌ国際映画祭で最高賞に輝いた是枝裕和監督の「万引き家族」をはじめ、家族をテーマにした作品は世界的にも関心が高い。本作では、他人が寄り集まった“疑似家族”ではなく、血縁のある家族ならではの複雑な心情に、正面から向き合っている。

 15年前の雨の夜、夫を殺したこはる(田中裕子)=写真右から2人目=が戻ってきた。罪を償い、ほとぼりが冷めたら帰ってくると、子どもたちに約束していたのだ。

 すさまじい家庭内暴力から子どもたちを救った決断に、こはるを“聖母”とする報道もあった。だが、残された子どもたちの生活は一夜にして激変。誹謗(ひぼう)中傷や嫌がらせが続き、次男の雄二(佐藤健)=同左端=をはじめ、長男の大樹(鈴木亮平)=同左から2人目、末っ子の園子(松岡茉優)=同右端=は、心の傷を抱えて成長した。

 「これからは好きに生きていいんだ」とは、出頭前のこはるが言い放った言葉だが、「父を殺して母がつくってくれた自由」という呪縛となり、家族の時は止まってしまった。母の覚悟を思うと切ない。

 再会した母へのわだかまりが解けないまま、一緒に暮らし始めるきょうだい。それぞれに問題を抱えながら、時間を進めようともがく苦悩が、俳優陣の熱演で胸に迫る。

監督/白石和彌 
製作/日本、2時間3分


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