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言葉と身体の関係探る きゅうかくうしお2年ぶり新作舞台

カルチャー 神奈川新聞  2019年11月07日 17:56

「素晴らしい偶然をちらして」のコンセプトについて「創る過程で見つかっていくんだろうな」と話す森山未來(左)と辻本知彦=横浜市中区(花輪 久写す)
「素晴らしい偶然をちらして」のコンセプトについて「創る過程で見つかっていくんだろうな」と話す森山未來(左)と辻本知彦=横浜市中区(花輪 久写す)

 振付家としても活躍中のダンサー辻本知彦と、演劇、舞踊など一つのジャンルにとらわれない表現を追求する森山未來によるパフォーマンスユニット「きゅうかくうしお」が、2年ぶりの新作舞台を横浜赤レンガ倉庫1号館(同市中区)で披露する。タイトルは「素晴らしい偶然をちらして」。9人のメンバーが、迫り来る身体と対峙(たいじ)する唯一無二の空間を創造する。 

 初の日本人男性ダンサーとして起用されたシルク・ドゥ・ソレイユでの活躍をはじめ、踊り手としてあまたの実績を積んできた辻本は現在、ミュージックビデオやCMの振り付けを数多く手掛ける。森山もデビュー以降、映画やドラマのみならず舞踊作品の創作、出演を重ね、表現者として存在感を発揮し続けている。

 そんな二人の出会いはミュージカル「レント」で創作を共にした2008年。辻本が振り付けを、森山が主演を務めたことが親交を深めるきっかけとなった。

 以降、互いのパフォーマンスを見ては否定交じりに論評し合う関係が続いたが、10年に共同で作品を創ろうと決意。二人が「子どもに付けたいと思う名前」をつなげて命名した同ユニットを立ち上げた。

 「エンターテインメントよりもアートにしたかった」と辻本が振り返るように、森山もユニットが目指した表現の形を次のように語る。「人に見てもらうことはあまり考えず、自分たちの内面から出てくるもの、紡いできた言葉に素直であることを選んだ」

 そうして生まれたのが、「生命の誕生」をコンセプトにした舞台「素晴らしい偶然をもとめて」(同年)。対照的に、17年には「死」をイメージした「素晴らしい偶然をあつめて」を上演した。今回の「-ちらして」は前作に携わった制作や音響のスタッフらを固定メンバーとし、辻本、森山を含めた9人が舞台に立つ。

 一貫して「言葉と身体の関係性」を探ってきた。見どころを問われ「無限に広がる宇宙のように感じてもらえる肉体があったらいい」と答えた辻本は、演者の身体に注目してほしいと付け加えた。

 「僕らダンサーのように狙っていない、作為のない美しさが普通の人の踊りにある」。「眠れる身体」とも言い換えるそれは「水がこぼれてきれいにはじけ飛ぶように、体が骨と筋肉をただがむしゃらに使っているだけの美しさがある」という。森山も「緩和した身体と緊張した身体に、言葉や思想がどう入り交じるか」。こう新作の舞台を見据えた。

 本作は「舞踏」の影響も色濃く受けていると森山は話す。舞踏の振り付けを言葉で記譜した「舞踏譜」への関心から、「言葉が身体を立ち上げる」「身体に言葉を置く」表現のありようを自分たちなりに再構築することを目指す。メンバーは上演に向けて田植えを体験し、そこで得た感触を言語化したり、自ら詠んだ川柳に動きを付けたりする創作に挑み、自己の身体性と丹念に向き合っている。

 「歩き方一つで時間軸が生まれる。トリップしたような、舞台ならではの空気が流れる時間を提供できる。面白いと思うよ、本当に」。辻本がこう自信をのぞかせると、森山も続けた。「普通の舞台では音響や照明、制作、宣伝美術たちの顔は見えない。この9人の身体が果たしてどこに向かうのか」
 新生「きゅうかくうしお」が創り上げる生身の表現に、目が離せない。

 会場は横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール。22日~12月1日。土・日曜は午後3時、平日は同7時開演。前売り一般4500円、25歳以下4千円、高校生以下2千円。当日5千円。チケットはカンフェティ☎(0120)240540などで販売。問い合わせは、横浜赤レンガ倉庫1号館☎045(211)1515。


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