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【K-person】松田龍平さん
新聞記者役に初挑戦 誤報を巡る苦悩描く

K-Person 神奈川新聞  2019年10月27日 11:30

松田龍平さん


松田龍平さん
松田龍平さん

 NHK・BSプレミアムで11月3日から始まるドラマ「歪(ゆが)んだ波紋」で、横浜にある架空の地方新聞社、新神奈川日報の記者、沢村政彦を演じる。新聞記者役は初挑戦だ。

 「みんなが知りたい事を探りに行く、という点では面白さもある仕事。でも、影響力がある分、責任が重い仕事だな、と。情報の伝え方を間違えると大変なことになるので」

 ドラマの大きなテーマは「誤報」だ。政彦は上司の指示で、ひき逃げ事件の特ダネを取材する。夫を亡くして悲嘆に暮れる妻が実は犯人だという。だが、後にそれは誤報だと判明。政彦は良心の呵責(かしゃく)にさいなまれる。

 「指示されて記事を書いたら間違っていた訳で、政彦もだまされたといえる。自分のせいだけじゃない、という逃げ道もあるが、自分の記事で人の人生を狂わせてしまったと悩み、きちんと受け止めようとする。すごく熱い人」

 他のシーンを演じている間もその苦悩がずっと頭を離れず、「正直、そこまで苦しんで受け止めるのか、とも思った」と明かす。「政彦はどうにもできない気持ちを抱えている」と捉える。


 誤報は現実でも大問題だ。特にネットの世界では、偽の情報をわざと発信するフェイクニュースが弊害をもたらしている。ドラマの中では、偽の情報が金を生むといったせりふが登場するという。

 「そういう現実に対して、真面目に人に寄り添おうとする“新聞屋”の人がドラマでは描かれる。こういう生き方をしている人がいるんだ、と伝われば」

 実はNHKの制作スタッフが小社に下見に訪れ、現場の記者に地方紙ならではの話を聞くなどの下準備があった。

 「撮影に入るまで全国紙と地方紙に違いがあるとは知らなかった。地方紙の良さは、身近に感じられることがちりばめられていることでは」と感じている。

 新聞には“人の温かさ”を求めたいという。「人間であるというか、心を持っている人が記事を書いていてほしい。今回、それによって苦しんでいる役なので。他人の事を書くので重圧もあるでしょうが、そこに人がいることをリアルに感じながら書いてほしいと思います」

まつだ・りゅうへい
 俳優。1983年生まれ、東京都出身。99年映画「御法度」で俳優デビューし、日本アカデミー賞新人俳優賞など多数受賞。以来、映画や舞台、ドラマと幅広く活躍。主な出演作に、映画「まほろ駅前多田便利軒」シリーズ、「舟を編む」(日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など)、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」、ドラマ「獣になれない私たち」、舞台「イーハトーボの劇列車」など多数。主演ドラマ「歪んだ波紋」(NHK・BSプレミアム、11月3日午後10時、全8回)、主演スペシャルドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」(NHK総合テレビ・BS8K・BS4K、12月30日)、映画「影裏」(2020年2月14日公開予定)が控える。

記者の一言
 「歪んだ波紋」の原作は塩田武士さんの同名小説。関西から神奈川に舞台を移してドラマ化し、ほとんどのロケを横浜で行った。「赤レンガ倉庫や観覧車がよく見えるところなど、ムーディーな横浜に浸っている」とほほ笑む松田さん。「記者としてどんな取材をしたいですか」と尋ねると、しばらく考えて「海外に行ってリゾート地百選とか」。いいなあ、その取材、と場が和んだ。「人の温かみが感じられる新聞であってほしい」との言葉には、身につまされるばかり。

 インタビュー冒頭で「新聞記者の方と実際に向き合うとどきどきしますね」と言われたが、どきどきしたのはこちらの方。演技について「年とともにいい形で余裕が出てくればいいなと思うが難しい」と話すが、そうは見えない落ち着きぶりだった。


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