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【K-Person】tupera tupera
暮らしも仕事も自然体で楽しむ

K-Person 神奈川新聞  2017年09月24日 15:09

tupera tupera
tupera tupera

tupera tupera

 ページをめくると土に埋まっていた野菜の正体が分かる「やさいさん」、読者自身が目や鼻のシールを貼って顔を完成させる「かおノート」、人気者パンダの秘密が暴露される「パンダ銭湯」-。

 子どもも大人も夢中になるユニークな絵本が大人気。ユニット結成15周年を迎え、横須賀美術館を皮切りに全国巡回する大規模な展覧会が始まった=写真。


横須賀美術館の会場
横須賀美術館の会場

 学生時代からの仲間で、夫婦でもある二人。「アイデアの種を出すのは、亀山が多いですね」(中川)。「アイデアありきで、それをいかに表現するかを考える、そのプロセスも楽しんでいます。アイデア段階で否定されると『いやいやわかってないね』と。それも最近は減ったかな」(亀山)

 自由に話し合いながら作っていくスタイルに、「これはどう?」「いやこっちは?」と色や形を変えて、目の前で確認できる切り絵がぴったりくるという。はさみと紙を持つ四つの手をめいっぱい動かして、作品に取り組んできた。

 昨年、東京から京都へアトリエを移した。鴨川のほとりで「聴いているラジオに突っ込みを入れたり、今日の晩ご飯は何にするかを話したりしながら、のどかに淡々とやってます」と亀山はいう。

 小学4年の女の子と5歳の男の子を持つ親でもある。中川は「絵本作りというと空想の世界へ飛んでいって…というイメージがありますが、オンもオフも全部つながっていて、子どものことも自然に入ってくるんです」とほほ笑む。

 実際、子どもとの生活から生まれた作品は多い。「タコさんトコトコどこいくの?」は赤ちゃんだった娘の成長の早さから、「おばけだじょ」は息子が2歳のころの寝起きの様子からヒントを得た。

 「頭のねじが外れた」という意味を込め、“おまじない”として造語したユニット名。暮らしも仕事も自然体で楽しむ様子が、言葉の端々から伝わってくる。

 亀山は「いろんなことに流されて、やっているうちにいろんな人に出会って、何かが生まれてくる。どこに行くのか、何を作るのか、分からない方が面白い。だから、今後こんな絵本を作りたいとの抱負はないんです」と語った。

(敬称略)

ツペラ ツペラ 亀山達矢(1976年三重県生まれ)と中川敦子(1978年京都府生まれ)による美術ユニット。2002年に活動を開始。絵本、イラストレーション、舞台美術、雑貨、空間デザインなど幅広い分野で活躍している。京都造形芸術大こども芸術学科客員教授。
主な絵本に「ぼうしとったら」(学研)、「かおノート」(コクヨ)、「しろくまのパンツ」(ブロンズ新社)、「パンダ銭湯」(絵本館)、「うんこしりとり」(白泉社)など。
11月5日まで「ぼくとわたしとみんなの tupera tupera 絵本の世界展」を横須賀美術館(横須賀市鴨居)で開催中。原画や工作など約300点が並ぶ。問い合わせは同館電話046(845)1211。

記者の一言
 会場前のオープンスペースでインタビューを行ったこともあり、「一緒に写真撮ってください!」と声を掛ける親子ファンで、何度か取材が中断した。恥ずかしがる子どもたちに声をかけるtupera tuperaを中心になんともいえない緩やかな空気が流れていて、二人が家族で過ごす様子もこんな感じかな、とほほ笑ましかった。

 写真といえば、「パンダ銭湯」を再現した会場内の銭湯コーナーでは、大人も子どもも大興奮。瞳を輝かせて順番に浴槽に入り、記念撮影。さすがに一人だと勇気が出なくてスルーしてしまったが、銭湯で売っている「えいようまんてん竹林牛乳」にちなんだ牛乳瓶入り「ささあめ」をミュージアムショップで買ってしまった。ファンの心をくすぐる仕掛けがいっぱいだ。


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