1. ホーム
  2. K-Person
  3. ハードボイルドの魅力 男の生きざまを見せたい

【K-Person】加藤雅也さん 
ハードボイルドの魅力 男の生きざまを見せたい

K-Person 神奈川新聞  2019年09月01日 16:34

加藤雅也さん 


加藤雅也さん
加藤雅也さん

 1988年公開の映画「マリリンに逢いたい」で俳優デビューして以来、多くの映像作品で唯一無二の魅力を放つ。今年だけでも「二階堂家物語」、「キングダム」、「彼女は夢で踊る」など多くの映画作品に出演。彫りの深い顔立ちと、セクシーでクールな雰囲気が魅力だが、NHKの連続テレビ小説「まんぷく」では喫茶店のマスター役を好演、ひょうきんな役柄でも見る者の心をつかんでいる。

 6日から公開される映画「影に抱かれて眠れ」では主人公の硲(はざま)冬樹を演じた。横浜で2軒の酒場を営む画家が、街の闇にのみ込まれていく姿を描く。ハードボイルド小説の名手・北方謙三の作品を原作とした映画に出演するのは「棒の哀しみ」(2016年)に続いて2作目だ。「ハードボイルド小説が好きで、大沢在昌さんの作品などもよく読んでいる。北方文学は、男の生きざまを描いているところが魅力。派手なアクションで魅了する作品ではないので、映像化のハードルは高い。説明しすぎてしまうとつまらなくなってしまうので、そのバランスが難しかった」


映画「影に抱かれて眠れ」は6日から横浜ブルク13などで公開
映画「影に抱かれて眠れ」は6日から横浜ブルク13などで公開

 出演に当たって原作を読み込み、主人公のこれまでの人生を細かく想像。やくざにすごまれても動揺しない主人公は、世界中を放浪し、危険な場面をくぐり抜けてきたという背景を持っているのではないかとイメージを膨らませた。首に巻いているストールがその象徴で、加藤自らがインドネシアで購入してきたものを使用したという。「この男はどう生きてきたのか。そして今、何を大事に思っているのか。役作りをし、演技をする中で、自分がふに落ちていない行動はできない」と役作りに込めた思いを語る。

 横浜で過ごした大学時代は足しげく映画館に通った。「天王町(保土ケ谷区)に『ライオン座』という映画館があって、日曜日だと邦画も洋画もごちゃまぜの5本立てだった記憶がある。近所のパン屋で割引券をもらえるので、パンを買って、映画館で一日中映画を見るのが楽しみでした」と穏やかな表情で振り返る。「『蒲田行進曲』や『ヨーロッパ特急』、『レイダース』を見たこともよく覚えています。吉川晃司君の『すかんぴんウォーク』にも衝撃を受けました」

 今回の映画の中心的な舞台になった野毛を含め、横浜は独特の雰囲気を持つ「ほっとする場所」と語る。「東京よりも絵になる場所。ドラマが生まれそうな、映画を撮りたくなる街ですね」

かとう・まさや
 俳優。1963年生まれ。横浜国立大学在学中にモデルとして活動を始める。ファッション雑誌「メンズノンノ」やパリ・コレクションなどで活躍。88年「マリリンに逢いたい」で俳優デビュー。98年には、映画「GODZILLA」でハリウッド映画に初出演。大河ドラマ「義経」、ドラマ「アンフェア」シリーズ、映画「真田十勇士」など、数多くの作品に出演。第12回日本アカデミー賞新人俳優賞、2002年度第12回日本映画批評家大賞主演男優賞などを受賞。

記者の一言
 すらりと背が高く、ダンディーな雰囲気。ダークスーツをラフに着崩していても、華やかなオーラをまとっていた。

 映画PRのための取材が詰まった一日、遅い時間だったにもかかわらず、作品づくりについて熱っぽく語ってくれた。「スクリーンで見たときに、ただ強そうな男、というのではだめなんです」。映画の中では寡黙な男性を演じているが、その裏側には緻密な役作りがあったことを知ることができた。

 横浜国立大学では「普通の学生でしたよ」というが、この美形では相当目立ったのではないだろうか。「あの頃の羽沢(横浜市神奈川区)は何もなかった」と思い出話をしてくれたが、新駅の開業を控える街の表情は変化し続けている。横浜を舞台に、今回とは違った役を演じる加藤さんもスクリーンで見てみたい。


シェアする