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【K-Person】スプツニ子!さん
こんな未来もあり得る 一緒に考えていければ

K-Person 神奈川新聞  2017年08月27日 12:09

スプツニ子!さん
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 4日に開会した現代美術の国際展「ヨコハマトリエンナーレ2017」。コンセプトの立案や展示内容を考える構想会議のメンバーとして関わってきた。

 「2016年には英国が欧州連合(EU)を離脱し、トランプが米大統領に選出された。私たちは時代や文化が進むにつれ、世界は融合すると思っていたけれど、現実には断絶や分断が起こっている。そんな世界の現象を提示するアートが見られるのが、同展の一番の魅力」

 「孤立」と「接続」というテーマのもと、国内外の多様なアーティストの作品が並ぶ中、サム・デュラントのペリー来航にまつわる作品に関心を寄せる。


サム・デュラントの展示=ヨコハマトリエンナーレ2017
サム・デュラントの展示=ヨコハマトリエンナーレ2017

 「当時の日米の画家たちが互いの姿を描いた絵を、アメリカ人のデュラントさんがさらに描き直している。日米の文化の摩擦を感じさせて面白い」

 構想会議メンバーが携わった展示もある。ネット上での国や地域に関する検索関連語に着目した“Why Are We?”プロジェクト。例えば「Why is Japan」と検索すると「so safe」などが示されるが、「貧しい」や「飢餓」が付く国もある。「検閲もかかっておらず、イメージが分かりやすい」と集団意識の実情を伝える。

 「ジャーナリストの記事や社会活動家の取り組みからは、現実の問題を知ることができる。アートはそういった直接的な感じとは違うけれど、作品を見ながら自分の体験を引き出して、誰かと話すことができる」

 現代アートは難しいとよく言われるが「気になったら立ち止まって、友達や家族と会話するといい。初めてのデートの場としても相手の意外な面を知って、そこからつながることができるかもしれないし」とほほ笑む。

 自身もサイエンスアーティストとして映像作品に取り組んできた。話題となった「生理マシーン、タカシの場合。」は男性が女性の生理を経験してみたらどうなるか、という発想から生まれた。

 「生命工学や未来を愛していて妄想を繰り広げていたら、たまたまアートの世界から展示しないかと声を掛けられた。こんな未来もあり得るのでは、と一緒に考えてもらえればいい」

すぷつにこ! 現代美術家、マサチューセッツ工科大メディアラボ助教。1985年東京生まれ。ボストン、東京在住。ロンドン大インペリアル・カレッジ数学科、情報工学科卒。英国王立芸術学院(RCA)デザイン・インタラクションズ専攻修士課程修了。在学中からテクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映させた映像インスタレーション作品を制作。主なグループ展に「Talk to Me」(2011年、ニューヨーク近代美術館)、「東京アートミーティングうさぎスマッシュ」(13年、東京都現代美術館)など。14年FORBES JAPAN「未来を創る日本の女性10人」に選出。16年「ヨコハマトリエンナーレ2017」の構想会議メンバーに選出。

記者の一言
 きらびやかな経歴に恐れをなし、話が難しすぎたらどうしようと及び腰で会いに行ったのだが、失礼ながらかわいい感じ。だが、現代社会を鋭く語る姿はかっこよかった。トランプ大統領が選出された日、マサチューセッツ工科大のメインホールに「Share your Fears(あなたの恐怖を共有して)」と貼り紙が出された話には実感がこもる。インターネットについても「情報があふれているからこそ読みたいニュースだけ読み、共有する。そこに同じ考えの人とだけつながればいいとの分断が生まれている」と指摘。「ユートピアと全く違う方向へ流れている今、どう反省し、どう立ち向かっていくべきか。今は答えを持っている人は少ないけれど」。その危機感をトリエンナーレで共有したい。


スプツニ子!さん
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