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津波そのとき 3・11の教訓(3)
避難(上)「てんでんこ実践を」

津波そのとき 神奈川新聞  2011年09月04日 14:00

「まず逃げる、これしかない」


津波に襲われ「全壊」した大船渡市立越喜来小学校=3月18日(住民提供)
津波に襲われ「全壊」した大船渡市立越喜来小学校=3月18日(住民提供)

 海抜10メートル以下、海から200メートルの岩手県大船渡市立越(お)喜(き)来(らい)小学校。巨大津波にのみ込まれた3階建て校舎は無残な姿をさらすが、犠牲者は一人も出ていない。

 当時いた児童71人と教職員13人にけが人すらいないのは、奇跡ではない。脇目も振らずに逃げろという教え「津波てんでんこ」の実践が実を結んだ。

 「避難するぞ」。停電で校内放送が使えない中、遠藤耕生副校長は各教室を叫んで回った。まず向かったのは、高台にある三陸鉄道の駅。着いたのは地震の6分後だった。「怖い」と泣きだす児童もいたが、指定避難場所の公民館、さらに高い国道へと避難を続けた。眼下に広がる街並みは、洗濯機のように渦を巻く津波に洗われていた。

 実践のための積み重ねがあった。

 昨年2月のチリ地震。観測された津波は30センチと低かったが、大津波警報が発令されたため、いち早く公民館に避難した。毎年4月には、昭和の津波を経験した古老を講師に、津波の恐ろしさを学んでもいる。

 「緊急時に判断するのはマニュアルでなく人。わたしたちは子どもの命を預かっている」。遠藤副校長は実感を込める。

 生き抜くために不可欠な迅速な避難と、それを可能にする日ごろの意識。津波常襲地の三陸でもしかし、徹底はされていなかった。越喜来地区では約100人が亡くなっている。

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