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津波そのとき 3・11の教訓(2)
なりわい「再生の道見えぬまま」

津波そのとき 神奈川新聞  2011年09月03日 14:00

「地域が崩壊してしまう…」


解体中のペンションの前に立つ菱木さん。先行きへの不安は消えない=8月23日、千葉県旭市
解体中のペンションの前に立つ菱木さん。先行きへの不安は消えない=8月23日、千葉県旭市

 数百もの消波ブロックが崩れ、一部は砂浜に打ち上げられた。今夏、海開きはできず、ビーチイベントはすべて中止に追い込まれた。

 東日本大震災の津波で計15人が死亡、不明となった千葉県旭市。ほぼ東西に延びる砂浜は房総屈指の海水浴場だが、にぎわうことなくシーズンを終えた。

 「被害額は億単位。もうやめようかと」。海まで歩いて30秒、眺望が自慢のペンションを営む菱木康良さん(45)には、その立地の良さがあだとなった。

 津波が押し寄せる前に高台へ難を逃れた。状況を確認するためペンションに戻ると「地獄絵のようだった」。建物は基礎ごと傾き、一面泥まみれ。隣家には、津波に流されてきた車が突き刺さっていた。「少しずつ改装しながら何十年も続けてきたのに、一瞬でなくなってしまうなんて」。「廃業」の2文字が頭をかすめたものの、「細々とでも続けたい」と、営業再開を諦めずにいる。

 旭市にとって観光は農漁業と並ぶ基幹産業。だが、市内29の宿泊施設のうち、少なくとも海岸沿いの5施設が休業を余儀なくされている。宿泊客は年間約12万人に上るが、「今年は6~7割減では」と市。風評被害やイメージの悪化、安全に対する懸念…。津波の影響は、施設の損壊という直接被害にとどまらない。

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