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DAYS広河隆一氏性暴力問題 元社員「つながり声を」

社会 神奈川新聞  2019年04月09日 10:12

 権力の監視者はなぜ、自らの権力に溺れたのか。著名なフォトジャーナリストの広河隆一氏(75)が写真誌「DAYS JAPAN」の女性スタッフらへ性暴力やハラスメントを繰り返したとされる問題で、発行元の元社員らが先月、連帯を目指す会を発足させた。会の一員で広河氏からパワハラを受けたという女性は、今回の問題の構図が多くの性被害に共通し、かばい合う業界の体質が背景にあると指摘している。(#Metoo#Youtoo取材班)


「DAYS元スタッフの会」一員の中村友紀さん=3月、東京都内
「DAYS元スタッフの会」一員の中村友紀さん=3月、東京都内

 「性交渉に及ばれ、怖かった。編集部を放り出されたらどうしよう、やり過ごさないといけないと思い込んでしまった」「いつでもクビにできると言われた」「パソコンを作業中、マウスを動かす手に自分の手を重ねてきた。恐怖で体が動かなくなった」

 昨年12月、週刊文春が元スタッフらの証言を掲載して以降、複数のメディアが被害の訴えを報じてきた。

 DAYS誌の元発行人である広河氏の事務所の元社員、中村友紀さん(39)も告発した1人。今年2月、自身のツイッターで週刊文春に証言したことを明かした。「広河氏の下で働いていた過去に決着を付けたい」。そんな思いからだったという。

 ■ ■

 イスラエルが建国され、居住地を追われたパレスチナ難民の問題を追い、チェルノブイリ原発事故も率先して発信してきたことなどで知られる広河氏。中村さんも「第一人者」として尊敬していたという。

 大学卒業後、映像制作会社を経て広河氏の事務所で働き始めたのは2014年3月。機材整理やインタビューの書き起こし、展示の設営、資料映像編集などの業務に携わった。

 就職して約1カ月後、広河氏から「(入社の)お祝いをしよう」と誘われ、仕事を早めに切り上げて午後8時ごろから、事務所近くのバーでワインを2人で飲み始めた。

 広河氏は中村さんに交際相手のことなどを聞き、さらりと言った。「じゃあ、僕たち付き合おうか」

 中村さんは「断るとクビになるのか」との懸念がよぎりながらも、明るい雰囲気を装い「聞かなかったことにします」と断った。その後も広河氏は「セックスのない人生は考えられない」などと語り続けたが中村さんは聞くに徹し、1時間ほどでバーを後にした。

 違和感は、自身に向けられた言動だけで抱いたわけではない。広河氏の原稿確認を待つ編集部員を事務所入り口で長時間立たせたままにしていることなどを目にしたという。

 関係が悪化したのは、入社から2カ月後。編集部員らへの態度を指摘すると、広河氏は頭をかきむしり「僕に命令するな」と怒鳴った。以後、必要最低限の情報すら話してこなくなり、事務所にとっての一大プロジェクトを控えていた矢先、唐突に言われた。「君との契約を解除する」

 広河氏が手掛けた写真や映像にじかに触れられ、業界の第一線にいる関係者とも身近に接せられた。仕事は充実し、社会への問題意識を共有するスタッフと過ごす時間は「楽しかった」と中村さんは言う。

 職場を去った6月、爽快感が胸に湧いた。感情をいかに押し込めていたのかが初めて分かった。

 取材依頼が来たのは、その4年後。「広河隆一事務所に関わっていたことは、自分にとって恥ずかしい過去と思っていたが、続く告発の記事を読み、何もしてこなかった自分も加害者のように感じた」。中村さんは取材を引き受けた。

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