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【KーPerson】佐久間由衣さん
役と一緒に成長 常に追いかけっこ

K-Person 神奈川新聞  2017年06月18日 10:02

佐久間由衣さん
佐久間由衣さん

佐久間由衣さん

 このドラマ、この映画の台本、誰が書いたんだろう。気になる作品の脚本を調べると、ヒューマンドラマの名手・岡田惠和(よしかず)さんの名に行き着いた。そんなことが何度か続いた。

 「温かみがあって、根っからの悪人がいない。例えば、初めは意地悪な役で出てきても、その意地悪に理由があることも描かれている。すごくすてきです」

 有村架純さん主演のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」の脚本を岡田さんが書くと知った。「逃したくない」とオーディションを受け、有村さん演じる「谷田部みね子」の幼なじみ「助川時子」役=写真左=を射止めた。


 物語の時代設定は高度経済成長期。

 オーディション合格後、すぐに祖父母に会いに行き、青春時代を過ごした当時の話を聞いた。

 「すごく希望のあった時代。頑張ったら頑張った分だけ結果が出たし、皆働くことに一生懸命だったり、自分の夢を持っていたり。物事に対して積極的に取り組む時代だった、と聞きました」

 時子は(奥茨城)村一番の美人で、女優になるのが夢だ。「思ったことはすぐに口に出してしまうし、正義感も強く、人情深い」と役柄を読み解く。そんな時子はみね子とともに、「金の卵」として集団就職で東京に出て働き始める。

 台本を読み込み、考える。演技の選択肢が増える。最初に抱いた感情に立ち返り、それを優先するよう心掛ける。

 勝ち気な時子が上京してどう変わっていくか。「世間に出て、ものを知って、ちょっと臆病になったり、初めての挫折を味わったり。そこから成長していくんだと思いながら演じています」

 時子とみね子の就職先の電機会社が倒産し、女子寮の仲間と別れていくシーンは涙ばかり。「実際に濃い時間を過ごした現場だったので、私自身さびしい気持ちがありました」。藤野涼子さん演じる豊子が工場に閉じこもる場面では、台本読みの時から皆が泣き通しだった。

 長丁場の現場。役と深く付き合うチャンスと捉えている。「時子も自分も一緒に成長し、追いかけっこしているような感覚が常にあります」

 撮影期間が空くと、物語の中で時子が歩んだだろう時間があり、戸惑う時もある。「空白の時間をどれだけ想像できるか。勉強させてもらっています」

さくま・ゆい 女優。1995年生まれ。横須賀市出身。2013年に雑誌「ViVi」でモデルデビュー。14年に映画「人狼ゲーム ビーストサイド」で女優活動を始める。主な出演作に「トランジットガールズ」「ラブラブエイリアン」(ともにフジテレビ)など。

記者の一言
 「時子の当たって砕けろの精神は尊敬しています」。自身は「慎重派」だそう。1960年代を知るため、祖父母に話を聞きに行ったという話や、記者の質問にじっくりと時間をかけて答える姿から、生真面目さが伝わる。

 純文学をよく読むという。「中でも中村文則さんが好きです。『教団X』など強烈で、読み応えがありました」。記者も「掏摸(スリ)」や「あなたが消えた夜に」、面白く読みました。


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